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B・F・スキナー博士『初めて老人になるあなたに ハーバート流知的な老い方入門』(2012年、成甲書房)


B・F・スキナー博士といえば行動主義心理学の第一人者。一般的には「オペラント条件付け」の発見者として良く知られている。例えば、レバーを引く→餌が出る、という経験を繰り返すことで、自発的にレバーを押すようになる、いわば「報酬系の強化」理論を提唱した方だ。

このスキナー博士による『老い方入門』だから、「何かしら老いに抗うためには、このような方法が有効」といった認知動機付けが語られているのかと思いきや、内容は極めて知的でオーソドックス。奇をてらった所はなく、紳士的に、かつまじめに老いに向かうためのさまざまな知恵を授けてくれる。この本は全米でベストセラーになったそうだ。確かに老いに向かうための十全の知恵が描かれている。

章構成は以下の通りである。

第1章 老いに向き合う

第2章 感覚の衰えとつきあう

第3章 記憶力を補う

第4章 頭をしっかりと働かせる

第5章 やりたいことをみつける

第6章 快適に暮らす

第7章 人づきあいのしかた

第8章 心を穏やかに保つ

第9章 死を恐れる気持ち

第10章 老人を初めて演じる

第11章 見事に演じ切る

どうだろうか。老いるに当たって必要にして十分な項目と章立てではないか。

この本、元々は彼が78才のときに全米心理協会の年次総会で発表した『老後の知的自己管理』という論文が原点。この内容が大いに話題になったことで、この論文をベースに同僚のマーガレット・ヴォーン博士の協力を得て完成したもの。さまざまな老いの要素に対して、抗うのではなく、いかに上手くやっていくか、そのための知恵が豊富に披露されている。老いに備えるためのベーシックな知識を知るための最適な一冊である。

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