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河合雅司『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(2017年、講談社現代新書)


 本書は、現在から約50年後の2065年にわたって今後の日本社会に起こり得る事象を年表形式で約20項目にわたって解説している。

 予測の内容の殆どは悲観的な事項である。「国立大学が倒産の危機に(2018年)」「介護離職が大量発生する(2021年)」「ついに東京都も人口減少に(2015年)」「輸血用血液が不足する(2027年)」「自治体の半数が消滅の危機に(2040年)」「外国人が無人の国土を占領する(2065年〜)」など。ここで描かれている事項はすでに現在でも顕在化しているものが多いが、具体的な年と共に記されているところが、本書に一定のリアリティを与えている。

 さまざまな未来予測の中で、予測確実性が高いものが「将来人口予測」である。日本では、「国立社会保障・人口問題研究所」が将来人口推計を行なっているが、官公庁発表の白書やレポートにおける将来予測は、ここでの推計人口を基礎データとして用いることが多い。日本の将来は人口減少と少子高齢化が確実に進むため、自ずとと本書で語られる事項は、悲観的にならざるを得ない。

 本書において語られる課題に対する解決アイデアが第2部として語られている。筆者が気に入ったアイデアは「遠く離れた自治体同士での広域合併」「国際分業の徹底」「セカンド市民制度」などであったが、いずれも高齢化、人口減少が進む日本における国の仕組みや制度のリ・デザインを促すものである。

 かつてない勢いで少子高齢化が進む日本で起こるさまざまな課題を解決するのは簡単なことではない。それだけに今後求められてくるのは、ここで述べられているような大胆な発想なのかもしれない。

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