高齢社会やシニアマーケティングを考えるための参考書籍をご紹介します。
最新記事

March 19, 2019

B・F・スキナー博士といえば行動主義心理学の第一人者。一般的には「オペラント条件付け」の発見者として良く知られている。例えば、レバーを引く→餌が出る、という経験を繰り返すことで、自発的にレバーを押すようになる、いわば「報酬系の強化」理論を提唱した方だ。

このスキナー博士による『老い方入門』だから、「何かしら老いに抗うためには、このような方法が有効」といった認知動機付けが語られているのかと思いきや、内容は極めて知的でオーソドックス。奇をてらった所はなく、紳士的に、かつまじめに老いに向かうためのさまざまな知恵を授けてくれる。この本は全米で...

February 9, 2019

近年の社会状況を極めて的確に表現した書名である。著者は、現在早稲田大学文学学術院教授(社会学)。未読であるが、過去にも『孤立の社会学』『つながりづくりの隘路』『郊外社会の分断と再編』などの著書があり、長年、孤立、つながり・ネットワーク、郊外などのテーマに取り組まれているようだ。

本書の主張は、主に序章と終章で語られている。

現在、日本社会は社会的孤立と不安に満ちた社会となっているが、それは近代化と都市化に伴い、前近代的な地縁・血縁を中心とする「共同体的関係」が次第に失われ、その代わりにとして、充実した社会保障サービスを背景に、個人の責任...

September 1, 2018

  書名に表されているとおり、この本が書かれた1980年当時、まだ20代のうら若き女性研究者であったパット・ムーアが老婆に変装し、実際に彼女自身が変装を通じて感じた「老人世界」を表現したものである。

  「変装」といっても、単なる簡単コスプレメイクではない。たまたま知り合った友人が、テレビ局に勤務するメイクアップ・アーティストだったことから、彼女に頼み本格的な変身を自らに施す。老けた肌を表現するため型でとったラテックスのフェイスマスクを顔に貼り付ける、白髪のカツラをかぶる。白い歯を隠すために特殊なクレヨンを歯に塗る。しゃがれ声を出すた...

March 25, 2018

 数年前、ベストセラーになった藤田孝典『下流老人』(2015年、朝日新書)は、多くの高齢者がふとしたきっかけで生活困難に陥り、下流老人化となる可能性があると警鐘を鳴らした書籍であった。それに先立つ2011年に発行された本書の主張も同様である。しかし、藤田氏が社会実践家としてのソーシャルワーカー的視点から『下流老人』というある意味でエキセントリックなタイトルをつけたのに対し、本書では比較的穏やかな『老後の生活破綻』という書名がつけられている。

 本書では、高齢者が生活破綻に陥る可能性を統計的マクロデータから、加えて実際のケーススタディと...

March 21, 2018

近年、高齢の女性作家によるエッセイが、ベストセラーの上位に必ずと言っていいほど顔を出している。この数年のベストセラーを見ると、下重暁子『家族という病』、曽野綾子『人間の分際』、渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』といったシニア女性作家によるタイトルが上位に並んでいる。(日販調べ)この好調を支えているのは同じ高齢者の女性層である。

今回、ご紹介する佐藤愛子著『九十歳。何がめでたい』もそのような1冊である。2017年の年間総合ベストセラーの1位に見事輝いている。

 本書のタイトルは『九十歳。何がめでたい』。日本そのものが超高齢化社会となった...

December 22, 2017

 本書は、長く福祉国家のあり方や準市場の可能性について研究を重ねてきた宮本太郎中央大教授による新たな社会保障の可能性を「共生保障」というキーワードを軸に語られたものである。

 「共生」という言葉は、安倍政権下でも平成28年に閣議決定された「一億総活躍プラン」の中にも「地域共生社会の実現」と表現されているように、近年良く耳にする言葉でもある。

 本書において筆者は、「地域で人々が支え合うことを困難にしている事態をいかに打開し、共生を可能にする社会保障をどう設計するか」を実現するための制度構想を「共生保障」と呼び、その方向性を示そうとしてい...

December 14, 2017

 赤瀬川原平は、現代美術家としてキャリアをスタートさせ、その後、尾辻克彦名で芥川賞を受賞。それ以降は、ふたつの名前を使い分けつつ、数多くの小説、エッセイ、国内外美術・芸術に関わる論考を残した。2014年に残念ながらお亡くなりになったが、おそらく本人は、最後まで自分は現代美術家という強い自覚を持っておられたに違いない。

 赤瀬川は、彼の存在そのものが一貫して優れたシュールレアリストであった。しかし、そのあり方はマンレイやブルトン的ではなく、日常生活の中に異次元のほころびや小宇宙を見いだす、いわゆる「お茶の間シュールレアリスト」とでも呼ぶ...

December 1, 2017

 本書は、公益財団生協総合研究所による「2050研究会」の報告書をとりまとめたものである。研究会のテーマは、「今後、超高齢・少子・人口減少、単身社会にが進む2050年の地域コミュニティにおいて、生活協同組合が果たすことが出来る機能・役割は何であるか」というものである。

 その解答の柱として挙げられているのが「集いの館」構想。具体的に、それはどのようなものかと言うと、

 「全国1万5千の小学校区単位に元気な高齢者が運営主体となる「集いの館」を展開する。そこにはコンビニ業態(30坪)と、さまざまな暮らしの相談に応える「よろず相談デスク」、多...

November 20, 2017

 長年、葬儀やお墓分野での研究を続けてきた著者、小谷みどり氏による論考である。あとがきで、「私の今までの調査や研究の集大成」と述べている通り、新書にも関わらず、内容は極めて数多くの調査データや事例に裏打ちされて、現在の葬儀とお墓の動向人々のこの分野に関する意識を知りたければ、この一冊を読むだけで十分といった充実ぶりである。

 葬儀やお墓に関わる人々の意識は、近年大きく変化してきている。著者によると、従来は生きている人が葬儀やお墓について語ることは少なかったが、長寿化が進み、家族のあり方も変化し、一人暮らしが増加した1990年前後からこ...

November 10, 2017

 秋田県北部にある藤里町、人口3600人、高齢化率42%の小さな町、藤里町が一気に全国的に有名になったのは、その町の福祉協議会が、引きこもりの就労支援にいち早く取り組み、一定の成果を収めたからである。

 社協として就労支援訓練の場として飲食店「こみっと」を経営し、引きこもりの若者にそば打ちを指導する。さらには、そこで作られた地元の白神まいたけ入りのキッシュを通信販売する。そんなユニークなケースが注目を集め、個々の活動は、NHK「クローズアップ現代」や週刊ダイヤモンドをはじめ、多くのメディアで取り上げられた。その活動は『引きこもり、町お...

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